現在の役員の退任と新しい役員の就任は同時に登記したほうが自然だしコスト安
会社の役員が変更になったら、役員変更登記をしなければなりません。法務局(登記所)に行って手続きをします。
役員の変更にはプラスとマイナスがあります。プラスは、新しい人が役員に就任することであり、マイナスは、現在の役員が退任などをして抜けることです。
このプラスとマイナスは、同時に起こることが自然です。普通は、役員が減るタイミングで役員を補充します。そのため経営者は、役員が減りそうになったら、新しく役員に就いてくれそうな人の目星をつけておく必要があります。
そして、プラスとマイナスの役員変更登記を同時に行うと、事務コストを削減することができます。
役員減と役員増を同時に登記すると半額になる
役員のマイナスと役員のプラスの変更を同時に登記すると、別々に行うときより、事務コストは半分になります。
「1件いくら」で決まる
役員変更登記のコストは「1件いくら」で決まります。
役員変更登記をするとき、法務局に手数料のような形で登録免許税を納付します。その料金は次のとおりです。
<役員変更登記の登録免許税の額:1件当たり>
- 資本金1億円以下の会社:1万円
- 資本金1億円超の会社:3万円
さらに、役員変更登記の手続きを司法書士事務所に依頼すると、手数料がかかります。大体1件3~5万円が目安になります。ここでは3万円として計算します。
役員変更登記の事務コスト計算は次のようになります。
役員の退任と新しい役員の就任を、別々に登記した場合のコスト:8万または12万円
- 資本金1億円以下の会社の計算式
役員退任(1万円+3万円)+役員就任(1万円+3万円)=8万円 - 資本金1億円超の会社の計算式
役員退任(3万円+3万円)+役員就任(3万円+3万円)=12万円
役員の退任と新しい役員の就任を、同時に登記した場合のコスト:4万または6万円
- 資本金1億円以下の会社の計算式
役員退任+役員就任(1万円+3万円)=4万円 - 資本金1億円超の会社の計算式
役員退任+役員就任(3万円+3万円)=6万円
法務局の登録免許税は、役員退任の手続きと役員就任の手続きを同時に行なっても役員変更登記としての登記申請は1件なので「料金」は1件分しかかかりません。
司法書士事務所も、役員変更登記1件分の費用として請求されるのが通常です。
しかし、役員退任の手続きと役員就任の手続きを別々に行えば、登記申請が2件になるので「料金」も2件分かかります。
経営者や総務責任者の「人件費」も安く済む
事務コストを考えるとき、経営者や総務責任者の「人件費」も計算に入れなければなりません。
退任と新任を同時に実施できれば、経営者や総務責任者が役員人事に割く時間を節約できます。
しかし退任と新任が別々に起きれば、経営者や総務責任者は2倍の時間が取られます。これは人件費の浪費と考えるべきでしょう。
労働者の生産性だけでなく、経営陣や管理職の生産性も上げていかなければなりません。
役員変更の基礎知識
登記を含め、役員変更に関わる作業をスムーズに進めるには、役員変更に関する基礎知識が重要になります。
役員変更が生じる6パターン
役員変更には主に次の6つのパターンがあります。
- プラス
- パターン1:新たに役員を就任させる新任
- パターン2:任期満了になったが次期も役員を務める再任
- マイナス
- パターン3:任期満了になり役員を退く退任
- パターン4:任期の途中で役員を退く辞任
- パターン5:会社が役員を退かせる解任
- パターン6:役員の死亡
役員の種類と任期
そもそも役員とは、次のような役職の人たちのことです。それぞれ原則の任期があるので、あわせて紹介します。代表取締役は取締役に含まれます。
<会社の役員の種類と任期>
- 取締役:2年
- 会計参与:2年
- 監査役:4年
- 執行役:1年
- 会計監査人:1年
任期が切れたあとも役員の仕事をしてもらうには、再任する必要があります。
先ほど紹介したとおり、再任も「役員変更」とであり登記が必要になります。
再任は「変更であり」「変更なしではない」と覚えておいてください。
定款で役員の人数が決まっているからプラス・マイナス同時が自然
会社は定款に、役員の人数(定員)を記載しなければなりません。したがって、役員が退任するなら、新しい人を役員に就任させなければなりません。
そのため役員変更はプラスとマイナスが同時に起きることが自然です。
自然であることは経営が安定している証拠
この「自然さ」は経営でとても重要です。
例えば、ある役員が、任期が到来したため退任することになったとします。それを見越して経営者が新しい役員を内定しておけば、退任と新任が同時に行なわれ、とても自然です。
これだけ段取りがよい会社に、何かトラブルが起きているとは思わないでしょう。
役員がいなくなるのに新役員が決まっていないと憶測を呼ぶ?
役員が1人いなくなったのに、新しい役員が決まっていなかったらどうでしょうか。取引先や金融機関や顧客や従業員などは、次のように憶測するかもしれません。
<役員のマイナスとプラスが同時に起きない不自然な状況に陥ったときの憶測>
- あの役員が退任することは前々からわかっていたのだから、それまでに新役員を決められなかったのは経営者の怠慢ではないか。
- 経営者は、あの役員が退任するとは思っていなかったのではないか。役員とのコミュニケーションは大丈夫か。
- あの役員は任期途中に突然辞任したが経営者と喧嘩したのか。だから新役員を決める時間がなかったのか。
憶測は事実に基づかない予測にすぎませんが、このように訝(いぶ)かられることは少なからず経営にマイナスになります。
段取りがとても大切
経営者や総務責任者は、役員の任期を覚えておくことはもちろんのこと、役員の意向をしっかり把握しておくことが求められます。
経営者や総務責任者が「あの役員は再任を受けてくれるはず」と思っていたのに、その役員が退任や辞任をしたら、それは役員の意向調査が甘かったことになります。
役員変更には役員の死亡も含まれるので、経営者や総務責任者は、役員たちの健康についても情報を集めておかなければならないということになります。
経営者と総務責任者と役員の間に信頼関係が築かれていれば、重大な病気がみつかった役員は速やかにそのことを報告するでしょう。
そして経営者は、常に新役員候補を考えておかなければなりません。「あの人を次の役員にしよう」と思っていたのに、いざ役員就任を打診したら断わられた、ということがないようにしたいものです。
人の健康と命は、つまり役員の健康と命は有限ですが、会社は無限に存続させていかなければならず、そして役員人事は会社の命運を握ります。
役員がいなくなることを予見することと、新役員をすぐに内定できることは、経営者の重要な仕事の1つです。
必ず司法書士に頼まなければならないわけではない
先ほど、役員変更登記の事務コストを計算したときに、司法書士事務所に依頼することを前提にしましたが、当然ですが、必ず依頼しなければならいわけではありません。
会社がまだ小さければ、経営者自身が役員変更登記を行ってもいいですし、総務責任者がいるならその人にやってもらってもよいでしょう。
手数料をコストダウンできる
司法書士事務所に依頼しないと手数料が減るので、役員変更登記のコストは次のようになります。
役員の退任と新しい役員の就任を、別々に登記した場合のコスト
- 司法書士事務所に依頼しない:資本金1億円以下は2万円、1億円超は6万円
- 司法書士事務所に依頼する:資本金1億円以下は8万円、1億円超は12万円
役員の退任と新しい役員の就任を、同時に登記した場合のコスト
- 司法書士事務所に依頼しない:資本金1億円以下は1万円、1億円超は3万円
- 司法書士事務所に依頼する:資本金1億円以下は4万円、1億円超は6万円
資本金1億円以下の会社が、退任と新任を同時に登記すれば、司法書士事務所を使わないと1万円で済みます。
役員変更登記に必要な書類はスタビジ登記でつくろう
自社で役員変更登記を行う場合は、スタビジ登記を利用することをおすすめします。
役員変更登記には、申請書に重要書類を添付しなければなりませんが、書類作成は手間がかかります。
しかしスタビジ登記を使えば、最短15分で必要な書類を正しくつくることができるので総務担当者をしっかりサポートします。
スタビジ登記には次のような特長があります。
- 司法書士が監修している
- 実績が豊富で、利用社数は1,000社以上に達しました(2021年5月時点)
- 費用は税込 10,000円
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さいごに~自然な形はコスト安
自然な形を維持することは、結果的にコスト安になります。
役員の退任と役員の新任を同時に行うことが自然なことであり、その結果、役員変更登記を1回で済ますことができて事務経費を抑えられるのは、偶然ではありません。
自然な形で役員変更を実施するために、日ごろから準備を怠らないようにしましょう。
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