会社の商業登記と不動産の不動産登記の違いは【どちらもビジネス上の重要法律行為】
「不動産登記」と聞いて「登記って会社情報を載せる制度ではないのか」と思う人がいるかもしれません。
逆に「会社の商業登記」と聞いて「登記って不動産情報を載せる制度だと思っていた」という人もいるかもしれません。
登記とは、国(法務局)が、国民や企業などの重要な権利と義務を公示する制度で、ビジネス上の重要な法律事務でもあります。
登記しなければならない事項がある場合は、法務局内の登記所に出向き、権利・義務や事実を登記簿に記載する手続きをしなければなりません。
登記しなければならない事項は複数あり、商業登記、不動産登記、法人登記、動産譲渡登記、債権譲渡登記、成年後見登記、船舶登記などです。
登記した会社情報や不動産情報などは、誰でも手数料を支払えば登記簿の写しとして入手することができます。
ここでは経済活動で頻繁に使われる商業登記と不動産登記について解説します。
法律が違う
会社のことは商業登記簿に記載します。土地や住宅など不動産のことは不動産登記簿に載せます。「簿」という名のとおり、昔は紙に記載していましたが、今はコンピュータ処理しています。
根拠となる法律は、商業登記と不動産登記で異なるので確認します。
商業登記法は会社のビジネスにプラスになることを目的にしている
商業登記法第1条に、商業登記の目的について次のように書かれてあります。
<商業登記法第1条>(一部略)
この法律は、商法、会社法、その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的とする。
商法と会社法はビジネスのルールを定めたものなので、商業登記もその関連であることがわかります。商号とは社名のことです。
商業登記をすることで、会社の信用が保たれ、会社の取引にプラスになる、と書かれてあります。
不動産登記法は国民の権利を守ることを目的にしている
不動産登記法第1条には次のように書かれてあります。
<不動産登記法第1条>
この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的とする。
不動産登記では、主役が国民であることがわかります。不動産登記をすることは、国民の権利を守り、国民の取引にプラスになる、と書かれてあります。
商業登記簿と不動産登記簿には何が書かれてあるのか
では、商業登記簿には会社に関する何が書かれていて、不動産登記簿には不動産に関する何が書かれているのでしょうか。
両者の記載事項を並べてみると、違いがはっきりわかります。
商業登記簿の記載事項
1.商号区
- 会社法人等番号
- 商号(社名)
- 本店の住所(本社の住所)
- 公告をする方法
- 会社成立の年月日
2.目的区
- 目的(事業内容)
3.株式・資本区[発行可能株式数]
- 株券発行会社である旨
- 発行済株式の総数並びに種類及び数
- 資本金の額
- 株式の譲渡制限に関する規定
4.役員区
- 代表取締役
- 取締役
- 監査役
5.会社状態区
- 取締役会設置会社に関する事項
- 監査役設置会社に関する事項
6.登記記録区
- 登記記録を起こした事由及び年月日
不動産登記簿の記載事項
1.表題部の記録事項
- 土地:所在、地番、地目、地積など
- 建物:所在、地番、家屋番号、種類、構造、床面積など
- マンションなどの区分建物:その建物の敷地に関する敷地権などの権利。この敷地権についての権利関係は区分建物の甲区、乙区の登記によって公示される
2.権利部(甲区)の記録事項
- 所有者に関する事項
- その所有者は誰で、いつ、どのような原因で所有権を取得したかがわかる
3.権利部(乙区)の記録事項
- 抵当権、地上権、地役権などの所有権以外の権利に関する事項
商業登記:ホームページの会社概要と似た内容、会社のことがわかる
商業登記簿の記載事項をわかりやすく説明すると、会社のホームページの会社概要のようなものです。
例えばトヨタ自動車株式会社の会社概要には、代表取締役社長の氏名、取締役の氏名、監査役の氏名、創立年月日、資本金額、株主、主な事業内容、従業員数、本社所在地、などが記載されていて、商業登記簿の記載事項とほぼ同じです(*)。
このことから、商業登記にはホームページのような役割があることがわかります。つまり、会社のことを広く知ってもらう狙いです。
ただ、ホームページは任意のもので、悪意があれば嘘の内容を書くことができますが、商業登記簿に記載されるには法務局に証拠書類を提出しなければならないので、原則真実しか載りません。
第3者がその会社のことを知れば、取引しようと考えるかもしれませんし、「この会社なら安心して製品を買うことができそうだ」と思うかもしれません。
*:https://global.toyota/jp/company/profile/overview/
不動産登記:売買に必要になる情報
不動産登記簿の記載事項の重要性は、「自分がこの不動産を買おうとしているとしたら」と想像すると理解しやすいかもしれません。
例えば、家を建てるためにある土地を買おうと考えたとします。その土地の地番を調べて法務局に申請すれば、その土地の登記事項証明書を入手できます。登記事項証明書には、不動産登記簿と同じ内容が書かれてあります。
そこには土地の所有者の氏名や権利関係などが詳細に書かれてあるので、所有者に「売って欲しい」と持ちかけることも、「権利関係が複雑なのでやめておこう」と思い直すこともできます。
このように不動登記簿の内容は、不動産の売買に欠かせない情報であることがわかります。
商業登記は会社にどのようなメリットをもたらすか
会社を設立したら商業登記の会社設立登記をしなければなりません。
そしてまた、会社設立登記をしなければ、その会社は法律的に存在しません。
したがって、商業登記は会社の義務といえますが、その義務は決してマイナスとなるものではありません。
商業登記された会社は、国によって(法務局によって)その存在が保証されます。国に存在が保証された会社は、経済活動の幅が広がるはずです。なぜなら取引先や顧客や消費者は、得体の知らない団体より、存在が確実な会社と取り引きしたいからです。
商業登記は広い意味では、会社のビジネスチャンスを増やしていると考えることができます。
不動産登記は国民にどのようなメリットをもたらすか
不動産登記が国民にもたらすメリットは、「もし不動産登記がなかったら」と考えると理解できます。
不動産登記がなかったら、これから買おうとしている不動産に抵当権がついているのかどうかを知るには、所有者に聞くしかありません。所有者が「抵当権はついていない」と嘘をついたら、その不動産を購入したあとに抵当権者が現れてその不動産を取り上げられるでしょう。
不動産登記制度がなかったら売買に慎重になるので、不動産ビジネスは縮小してしまうかもしれません。
不動産を安心して買うには、不動産登記が欠かせません。そして不動産は多くの国民が必要とする財産なので「不動産登記制度は国民にメリットをもたらす」ということができます。
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