本店移転登記の手続きは管轄内移転と管轄外移転で異なる【本社引っ越しの注意点】
会社の本店移転登記の手続きについて解説します。
本店移転登記の手続きは特殊で、引っ越し先によって手続きが変わります。
本店の引っ越しが「管轄内移転」のときは1カ所の法務局に申請すればよく、「管轄外移転」のときは2カ所の法務局に申請しなければなりません。
管轄とは、法務局の管轄のことです。
それぞれの法務局は、自分たちが担当する地域を持っていて、それを管轄といいます。
管轄内移転とは、本店の引っ越し先が、現在の法務局の管轄内にとどまる場合のことです。
管轄外移転とは、本店の引っ越し先が、別の法務局の管轄になる場合のことです。
本店とは「ほぼ本社」のこと
本題に入る前に、本店について解説します。
法律上の本店とは、商業登記(以下単に、登記)をした本店のことで、多くの会社は本社機能を持つ事務所を本店にしているはずです。
複数の店舗を持っている会社では、店舗のことを本店や支店と呼んでいるかもしれませんが、その本店は「登記上の本店」ではないこともあります。
したがって、ここで解説する本店とは、便宜上本店と呼ばれている場所ではなく、法律上の本店を指しています。
管轄内の本店移転と管轄外の本店移転
管轄内の本店移転と管轄外の本店移転の違いをみていきます。
法務局の管轄とは
管轄とは、担当する地域という意味になります。
例えば、東京都千代田区や中央区、文京区などに本店がある会社は、東京法務局が担当しています。東京法務局はその他に、大島や三宅島、小笠原諸島なども管轄にしています。
その他の23区は、例えば台東区は東京法務局台東出張所の管轄で、渋谷区と目黒区は東京法務局渋谷出張所が担当しています。
地方なら、例えば北海道の場合は、札幌市は札幌法務局が担当しますが、スキーで有名なニセコ町は札幌法務局倶知安支局の管轄になります。
例えば「台東区→台東区」は管轄内、「台東区→渋谷区」と「台東区→札幌市」は管轄外
台東区の本店を、台東区内に移転させるときは、管轄内移転になります。
台東区の本店を、渋谷区や札幌市に移転させると、管轄外移転になります。
1つの法務局で済むか、2つの法務局への申請が必要か
管轄内移転と管轄外移転の本店移転登記の違いは、1つの法務局への申請で済むか、2つの法務局に申請しなければならないか、です。
それ以外は同じです。
本店移転登記の申請の流れを紹介します。
自社でやってみよう「手続きの仕組み自体は単純」
本店移転登記をするとき、司法書士事務所に依頼することが一般的ですが、もちろん自社で手続きすることも可能です。
ベンチャー企業や中小企業であれば、事務コストを減らすために、経営者自身や総務部長が登記をしてもよいでしょう。本店移転登記の手続きは、仕組み自体はとても単純だからです。
本店移転登記申請書に必要事項を記入して、添付書類とともに法務局に提出するだけです。書類に不備がなければ、1週間程度で完了します。
申請書は2種類ある
本店移転登記申請書は、管轄内移転用と管轄外移転用の2種類あります。
管轄内移転用の正式名称は「1-13 株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所内移転)」といいます。
管轄外移転用の正式名称は「1-14 株式会社本店移転登記申請書(管轄登記所外移転)」といいます。
いずれも法務局の以下のサイトからダウンロードできます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#1-13
管轄内移転であれば、申請書などを管轄の法務局に提出するだけで済みます。
管轄外移転であれば、移転前の管轄の法務局と移転後の管轄の法務局に提出します。
ただ管轄外移転であっても、2通の申請書とも移転前の法務局に提出するだけで済みます。移転前の法務局が、移転先の法務局に必要書類を送付してくれるからです。
添付書類の作成が手間「入念な準備が必要」
多くの会社が司法書士事務所に本店移転登記を依頼するのは、添付書類の作成に手間がかかるからです。しかし、添付書類の種類をみれば「自社で用意できそう」と思えるはずです。
本店移転登記を申請するときに必要な添付書類(本店移転登記申請書以外に必要になる書類)
株主総会議事録
定款には本店の所在地として市区町村が記載されています。例えば「本店を東京都台東区に置く」と書かれてあります。
したがって、移転によって市区町村が変わると、定款を変更しなければなりません。そして定款の変更には、株主総会の特別決議が必要になります。
本店移転によって定款を変更するときは、本店移転登記のときに株主総会の議事録が必要になります。
株主リスト
株主総会議事録を提出する場合は、株主リストも必要になります。
取締役会議事録
取締役会を設置している会社の場合、取締役会で詳細な移転先や移転日などを決議しなければなりません。その場合、本店移転登記のときに取締役会の議事録が必要になります。
取締役の決定書
取締役会がない会社では、取締役が集まって本店の移転先や移転日を決議しなければなりません。その場合、本店移転登記のときに取締役による決定書が必要になります。
印鑑届書と印鑑カード交付申請書
移転によって法務局が変わる場合は(管轄外移転の場合は)、移転後の法務局に印鑑届書を提出することになります。
さらに、移転先の法務局では、移転前の法務局で使っていた印鑑カードが使えなくなるので、移転後の法務局でも印鑑を登録する場合には、移転先の法務局に印鑑カード交付申請書も提出する必要があります。
株主総会や取締役会を経なければならない
必要な添付書類からわかるとおり、本店を移転するには、株主総会や取締役会の決議を経なければなりません。取締役会がない会社では、取締役が決定する必要があります。
本店の移転は会社にとって重要な出来事になると思いますが、法律的な手続きとしてもとても重要なものになります。
必要な費用:管轄外移転なら税が2倍に
本店移転登記をするには、登録免許税という税金を支払わなければなりません。
税額は1件30,000円で、本店移転登記申請書に収入印紙を貼る形で納付します。
管轄外移転の場合は、2つの法務局に本店移転登記申請書を提出することになるので、登録免許税も2倍の60,000円になります。
登録免許税のお金は、司法書士事務所に依頼しなくても発生するのでコストダウンできません。
支店でも本店移転登記が必要になることがある
支店を持つ会社が、支店登記をしている場合、本店が移転したら、支店所在地の法務局で本店移転登記をしなければならなくなることがあります。
支店登記に本店の所在地が記載されているからです。このときは別途、登録免許税9,000円が必要になります。
ただし、支店の所在地が、移転前の本店の法務局の管轄内、または、移転後の本店の法務局の管轄内にある場合は、この「支店所在地の法務局での本店移転登記」の手続きは必要ありません。
本店移転登記の強い味方「スタビジ登記」を使ってみて
会社を設立してからあまり法務の経験をしてこなかった会社には、本店移転登記の手続きは貴重な機会になるでしょう。
経営者自身や総務担当者がこの手続きをすることで、社内に法務スキルが蓄積されます。
ただ、登記は行政手続のなかでも特に重要で、本店移転登記も添付書類を集めるのに苦労するでしょう。
正確を期すために、スタビジ登記の利用をおすすめします。
スタビジ登記を使えば、最短15分で必要な書類を正しくつくることができます。
スタビジ登記には次のような特長があります。
- 司法書士が監修している
- 実績が豊富で、利用社数は1,000社以上に達しました(2021年5月時点)
- 費用は税込 10,000円
- 無料で印鑑をつくるキャンペーンを実施中
さいごに~登記も忘れずに
本店移転は、いわば本社の移転なので、経営者も会社も一大決心をするはずです。多額の費用がかかりますし、社員たちの生活にも少なからず影響するので、移転先選びや事務所の規模の検討は慎重に行うはずです。
しかし、本社の引っ越しは、社内の一大事であるだけでなく、社外的にも大きな意味を持ちます。その1つが本店移転登記で、これは法律上の重要な手続きです。
だからこそ、多くの会社がこの手続きを司法書士事務所に任せるわけですが、自社でもできます。スタビジ登記を使って挑戦してみてください。
会社設立も変更登記も
簡単オンライン作成
登記簿謄本に記載されている登記内容の変更には司法書士監修の
START BUSINESSの会社設立変更登記システムが便利です。
本店移転・代表取締役の住所変更・商号変更・目的変更・役員変更・募集株式の発行・
株式役割・ストックオプション発行などに対応しています。
- 初めてでも大丈夫!3ステップで簡単!会社設立
- オンラインで登記申請手続きが完了
知識がなくても大丈夫!
ステップ方式で簡単
会社設立・変更登記の為の
書類が作成可能です。
※登記申請には書類作成の方法や手段に関わらず、別途登録免許税が必要です。(弊社で発生する料金ではございません)
会員登録